あらきの優雅で貴族的徳に溢れたブログ

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あらきと学ぶ楚漢戦争 ~「事前知識としての春秋時代」~

ここに来たということは、歴史が好きだということでしょう。そうでないなら、これから好きになってくれると嬉しいなぁという次第です。

じつはあらき、にわか歴史大好きマンで、歴史の本は結構買ってます。楽しい。でも、やはり皆さんが好きなのは「西洋史」。 

超約 ヨーロッパの歴史

超約 ヨーロッパの歴史

 

 騎士とか貴族封建制度とかローマとかキリスト教とか百年戦争とか。男の子ってこういうのが好きなんでしょ……?

 

 実際、「大航海時代」から西洋史が占める世界史の割合はめちゃくちゃ増えて、「世界史=西洋史」みたいなところがあります。近代国家や資本主義、民主主義から世界大戦まで、全て「ヨーロッパ諸国が作り上げた構造」や、それを基軸にした出来事です。民族主義ナショナリズム)も、ヨーロッパの考え方が根強い。

「民族」で読み解く世界史

「民族」で読み解く世界史

  • 作者:宇山 卓栄
  • 発売日: 2018/01/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 ――しかし。しかしです。欧州の構造が近代を作り上げていった一方で、世界史においてずっと重要だったのは「東アジア=中国」です。なぜか。

それはもちろん、「世界最大の帝国」だったからです。力こそパワー。でかいなら影響力もでかい。

 

もちろん西洋古代史なんかもすごく重要ですが、その重要性の所以はやはり「西洋中心の近代」を支える基礎として成立したから。ここら辺はルネサンスなんかを勉強すると分かりやすいのでお勧めですね。

ルネサンス 歴史と芸術の物語 (光文社新書)
 

でも、力を持っていた中国の影響力を無視して歴史を語るのはワンピースを語るのに頂上戦争を無視するのに等しいです。あのグダグダ戦争が面白いかは諸説ありますが、白ひげの死や海軍本部の崩壊は物語に大きく影響しています。黒ひげの台頭が一番大きな結果です。それはさておき。

 この時代の名が「白ひげ」だ! と「これからは俺の時代だァ!」は戦争を如実に表したセリフです。大きな転換点。

 さて、東洋史の重要性を理解してもらえた(?)ところで、本題に入っていきますね。

 

楚漢戦争ってなんだよ

楚漢戦争。何となく歴史をぼんやり知っている人なら「楚と漢が戦争したんだなぁ」くらいは分かるかと思います。間違ってはいません。

しかし、その戦争の重要性については、理解が足りない人が多いんじゃないですか? じつはこの戦争、中国の「その先」を決定づける大戦争だったんです。大きな大きなターニングポイントなんです。

じゃあなんでターニングポイントになるの? という話なんですが、それを語るとなるとかなり時間がかかるのじゃ……話は楚漢戦争のずっとずっと前にさかのぼる……。ここまでたどり着くのに多分かなりかかります。許して……。

周王朝

まず、戦争よりもはるかに栄えた国家に「周」という国があります。その建国過程は歴史書も信用できないというか、神話クラスのお話なので割愛します。

ですが、中国大陸をしっかり支配した周の王朝も衰退していきます。中国思想では「衰退するのは君主に徳が足りないから」という儒学的な考えが根強くなっていくので、周の末期の王も徳が全然足りない人として描かれます。

詳しくは『史記』を読めばわかりますが、歴史書をうのみにするのは危険なので「歴史解釈」のスキルも学んでいくと良いですね。

史記 一: 覇者の条件 (徳間文庫カレッジ)

史記 一: 覇者の条件 (徳間文庫カレッジ)

  • 作者:遷, 司馬
  • 発売日: 2016/06/03
  • メディア: 文庫
 

 ここに周王朝の盛衰について書かれています。が、書いた人も二千年前の人。必ずしも正しいわけではないことに注意!

周王朝の衰退と「春秋時代

さて、周王朝は時を経て支配力をなくし、周王は政治への関与ができなくなってしまいましたが、「諸侯(周に臣従する国々のリーダーと考えてもらえればいいです)」は尊王攘夷をスローガンに周王を王として立てて「臣下」として主導権を握ろうとしていきます。攘夷は北方の異民族の蔑称である「夷」を撃退する、尊王は周王を尊ぶという意味です。

まあ実際は建前としてのスローガンで、諸侯たちはみんながみんな「自分がリーダーシップをとって支配者になってやる」と考えていました。このリーダーのことを「覇者」と言います。

諸侯たちはそれぞれの国(周というのも中国の一地域=国の名前です。周という地域から起こった国が全域を支配したから全部ひっくるめた名前も周になっただけで、それぞれの地域も国と呼んでいました)が時に争い、時に内政を顧みて、時に滅びました。

こうした時代を記した歴史書に『春秋』という書物があります。かの有名な孔子が記しました。この歴史書の名前を取って、この時代のことを「春秋時代」というわけです。

春秋左氏伝〈上〉 (岩波文庫)

春秋左氏伝〈上〉 (岩波文庫)

  • 発売日: 1988/11/16
  • メディア: 文庫
 

この時代に覇者として強い主導力を持った指導者の有名どころを「春秋五覇」と呼びます。呼びますが、ぶっちゃけ書物によって変わりますし、細かいところの解説はまたの機会に。結構面白い話が多いです。臥薪嘗胆とかはこのころの故事から。

春秋時代のおわり

ですが、弱りに弱った周王朝を立てようという考えはだんだんと薄れ、諸侯は「王」を目指そうと考え始めました。皆が周を軽視してしまえば、滅びは必定です。

とうとう周王朝は滅び、諸侯たちがそれぞれ「王」を名乗り中原の統一を目指す「戦国時代」が始まります……が、それは次回の記事でお話します。

 

おわりに

今回の記事はあくまで「楚漢戦争の事前知識」としての春秋時代で、なるべく人や国の名前を出さないように配慮しました。歴史が嫌いな人は「名前がややこしい」とよく言います。なので時代の流れをさらっとすくってみました。

歴史マニア・歴史好きの人からすると「足りない、薄味だ」と思われるかもしれません。じっさいあらきもそう思います。歴史はこんな要諦ではなく、人間ドラマにあるのだと考えるでしょう。正解は人間ドラマです。

ですが、脱線の多い話や逸話は本旨からそれますし、思い切ってすべて省きました。

もちろんこれで終わるつもりはありません。偉人や愚者の面白い逸話やエピソードについても記事にする予定です。 面白ければブックマーク、拡散の方ぜひぜひよろしくお願いします! 

 

続きはこちらから→

https://araki-buriburi.hateblo.jp/entry/2020/06/24/041334

中国史 (世界各国史)

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  • 発売日: 1998/06/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

中国の見方がわかる中国史入門

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